目を開いた時が朝

にほんごれんしゅう帳

ガチ文転を迷っている編入生予備軍へ向けて些細な自分語り

はじめに

この記事はklis Advent Calendar 2015の17日目の記事です。

 

文系か理系か、どっちつかずの僕がklisに編入した経緯について書こうと思います。

正直なところ、あまり理系文系という言葉での住み分けは好みませんが、便宜上この記事ではバンバン使っていきます。

自己紹介

ねいすって名前を使っています。

高専の電気情報工学科出身、2015年度のklis3年次編入生です。

高専時代は文芸部に所属していました。

理系の分野に進むか、文学部のような場所に編入するか一時期すごく悩んで、結果今に至ります。

こっちに来てからは主に情報学の勉強をしています。

文転

理系から文系への転身です。といっても、文系にもかなり幅があると思います。ここでの文転は、経営学などの高専で培った数学力を武器にしていける場所ではなく、文学部のような文献や資料と共に生きる文系への転身を指すこととします。

そして、5年間同じところ通う高専生が文転をするには、大学の文系の学部に一から入り直すか、編入学するかの二択が考えられます。そして編入学というからには、もちろん2年次や3年次のような途中の学年に合流することになります。

『それ5年間高専で勉強してきたことと違うじゃん。そんなことできるのかよ』と思われると思いますが、編入学試験に合格すれば可能です。

例えば、北海道大学の文学部は

(4)短期大学若しくは高等専門学校を卒業した者又は外国において学校教育における 14 年の課程を修了した者 及び平成 28 年3月までに卒業(修了)見込みの者

として、編入学試験の募集要項にきちんと高専について書かれています。本気で文学部のような場所へ文転編入したいと考えるのであれば、可能性がゼロというわけではないということです。

文転のための勉強

だからといって、高専生にも解けるような試験問題が出るとは限りません。むしろ、高専で普通に勉強していたのでは身につかないような知識が問われます。上のリンク先で公開されている問題を見れば、その程度が掴めるでしょう。

高専では全くと言っていいほど身につけてこなかった内容の話を、この試験に合格するために覚えなければいけません。ましてや、高専の4年−5年は授業の内容が専門に特化し始め、研究室の配属も決まり、進路決めも必要となり、かなり忙しいと思います。

そんな中で、全く別の分野のことに注力することができるのか。進学のつもりで勉強するなら、もしかしたら滑り止めに別の大学を受験するかもしれませんが、そこでは理系の内容を問うてくる問題が100%出題されます。その対策もしなければなりません。要は、門戸は開かれているが、くぐるには相応の覚悟が必要だと思います。

僕の場合

僕は、高専からの進学先を決めるにあたり、本気で文学部の可能性を考えていました。単純に本が好きで、部活動での小説執筆経験から、日本語についてもっと勉強したいと思っていたからです。

しかし、蓋を開けてみたら想像以上に辛そう。

『理系から文系へは行けるけど、文系から理系へはなかなか難しいんじゃない?』とは、僕を高専に入学させる決定的な動機となった言葉です。安直な中学生な僕は『なら取り敢えず理系の勉強もできるようになっておいて、それから文系のことをやろう!』と高専へ入学したのです。

僕は高専入学以前から文系分野へのあこがれを持っていました。しかし、編入先を決める段階になって、その憧れを形にするのは非常に困難だと感じました。理系から文系へも行けないじゃないか。高専入学の時点で文学研究する未来が断たれてしまったのか。なんて本気で過去の自分を恨んだこともあります。

そんなことでうだうだと進路を決めかねていました。両親や先生とも何回も話して、自分の本心を探っていきました。そうして冷静になってみれば、この5年間で学んだことをふいにするのは非常に惜しいとも思っていることにも気付きました。別に、高専で学んだことが嫌になったわけではなかったので。

結局、僕は文学部への編入を考えるのをやめました。客観的に見て考えだした時期と編入試験までの間で時間が圧倒的に足りなかったのと、やっぱり今後のために技術力は欲しいと思ったからです。自分の興味関心がある分野に携われて、高専でやったことを繋げられそうな場所、ということで編入先を選び、現在に至ります。

文転先(?)として見るklis

知識情報・図書館学類では、編入が決まると3つの主専攻から1つを選択して勉強していくことになります。詳しい主専攻の内容は学類のHPを見てください。図書館に関すること、人に関すること、情報やシステムに関すること、それぞれ内容が近しかったりバラバラだったりします。

主専攻は、今までの学習の内容に関係なく決定することができます。高専出身でも図書館の勉強をすることができますし、逆に今まで数学と無縁に生きてきたとしてもシステムの主専攻に入ることができます。それは本人の自由なので、やりたい内容から決められます。

また、他学類の授業も受講できるので、時間のやりくりをうまくすれば文系のことも一緒に 勉強できます。

僕は結局編入しても情報学――理系の分野にはいます。図書館についての勉強は本格的にやる予定はありません。でも、編入一年目の単位取得で忙しい合間に、文芸サークルに所属して、週に一度人文学類の哲学の授業を受けて、それなりに文系っぽいことも平行してできています。ある程度の履修の自由が利くので、分野が異なる授業が取れるのはこの大学のいいところですね。僕はこの選択肢としては有りだったんじゃないかなと思っています。

実際、理系から文系へ、文系から理系へと転身を遂げている例を知っています。

どっちにしろ必修でプログラミングを触ることになるので、そこだけ覚悟してもらって。

ガチ文転しようとしている高専生へ

僕のように、文学や歴史学のような文系科目をやりたくて文転編入したいと考えている高専生がいるかもしれないと思って体験談らしきものを書いてみました。編入し終わった今でも人文系の学問でやってることには興味を持ち続けています。

もしこの記事を読んでいるガチ文転希望の高専生がいたら、本気で覚悟を決めて進むには一人では絶対きついと思うので、家族や先生や友達に、よく話を聞いて貰って下さい。むしろ、彼らを説得できるだけの覚悟と意志がないと乗り越えられない気がします。高専で学んだこととやりたいこととを天秤にかけて、自分の夢の実現のために覚悟を決めてガチ文転編入をするというのなら、僕は憧れと尊敬をもって心から応援します。

その編入先でやりたいことができるのか、試験日程は大丈夫か、別の大学の入学手続き受付がそれまでに切れないか、などの根底理由と足元まわりをちゃんと確認することを忘れずに。 

ちなみに

この記事は文転するか否かの観点だけで書きましたし、当時の僕もその選択肢で頭を抱えていましたが、きっと知らないだけで選択肢は沢山あるはずです。色んなものを見て色んな人に会って色んな話を聞くと、何かいいことがあるかもしれません。